ベトナムコーヒー最前線<コーヒー生産世界2位> Part.2
ついつい色々語ってしまいがちなのです...
今回のテーマはカネフォラ種/ロブスタ種ですので話を戻して行きます!
スペシャルティコーヒー業界にいると『ロブ』(ロブスタ種をよくこう呼びます)は品質が低い、美味しくない、苦い...ハイブリットの交配種も『ロブっぽい』などと表現されたりし...前述した様に、良い悪いではなく、ロブスタ種の染色体の数はアラビカ種の半分である事から味わいが『単調』、アラビカ種の様な華やかさや豊かな酸味感、クリーンさ(キレ)などに劣ってしまうのは宿命とも言える事なのです。

ロブスタ種の強みは何か?
アラビカ種の生育に必要な環境に比べ標高が低い場所でも生育可能、最近のコーヒーに関わる病気に強く、一本の枝に付くチェリーの数も多く生産性が高い、etc...良い面ももちろん多いです。用途はインスタントコーヒー、缶コーヒー、イタリアンエスプレッソのブレンド豆、工業用製品のコーヒー味として利用され、世界のコーヒー生産の40%程度を占める。
今はアラビカ種が60%とメジャーな品種ではありますが、僕が’97にTully’sの一号店を日本にオープンさせ奔走していた頃(Sturbucksは’96に日本に上陸*後にシアトル系とかセカンドウェーブと呼ばれる様になりました)はアラビカ種=プレミアムコーヒー(別名『グルメコーヒー』)として特別感がありました。
当時はまだロブスタ種が60%以上を占めおりセカンドウェーブでアラビカ種とロブスタ種の栽培シェアは完全に逆転したと言っても過言ではありません...
何故、今『ロブスタ種』に注目しているか??
その要因は『地球の温暖化/2050年問題』なのです。

*写真はサビ病状態のコーヒー。
温暖化による影響が強い〜最近は耐病性の高いハイブリット品種改良により対応は進んでいますが...消滅は困難な状況です。
コーヒーの2050年問題とは、地球温暖化による気候変動が原因で特に高品質なアラビカ種コーヒーの栽培に適した土地が2050年までに半減するという予測に由来する問題です。
この問題は、コーヒーの品質低下、収穫量の減少、そして生産者の経営難を招き、結果としてコーヒーの価格高騰や供給不足につながる可能性があります。
恐ろしい予測が25年後...最近のコーヒー相場が高騰している要因は不作や天候不順に起因しています。コーヒー生産は温暖化の影響を受けて伸び悩む中、経済発展に伴い消費が増え、更に長引く戦争による原油高やコンテナ輸送費、人件費の高騰、海上航路の不安定さ(海賊問題)、日本の為替状況(円安)etc...着実に迫りつつあります。
アラビカ種の明るくない現実がある中、コーヒー業界も黙って時を待ってはいません!
病気に強く、気温上昇(環境の変化)に対応出来る、生産性が高く『味』も良いetc...積極的な品種改良や精製技術の向上、そして今回ベトナム産地を訪問した要因の一つ!
『ファイン・ロブスタ(CQI*80点以上)』と呼ばれるアラビカに対抗出来る『味わいの豊かなロブスタ種』の最新状況を舌で感じる為、旅立ちました...
*CQI: Coffee Quality Instituteコーヒー品質協会
SCAAの下部組織でコーヒーの品質向上と生産者の生活改善を目的としオークションなどを行う全世界規模で活動する非営利団体
ファイン・ロブ生産大国ベトナムの最前線〜
ベトナムでのコーヒー生産は世界のアラビカ60%/ロブスタ40%の比率とは大きく異なりアラビカ10%/ロブスタ90%のロブスタ種生産大国なのです。
*ブラジルは流石にアラビカ65%/ロブスタ35%、ロブスタ第2位の生産国です。




T R 1,T R 4,T R 5,TR9...ロブスタのハイブリット品種
*ファイン・ロブとして品種改良/正直見分けは付きませんね...
昨年来~東南アジアのコーヒー産地を中心に回っています。
中米、アフリカ、南米に比べて日本からのアクセスが圧倒的に良く、まだまだ未開の珈琲生産地が多く成熟していない、正に『発展途上』のポテンシャルが高いエリアなのです。
今回、夕方羽田から約5時間のフライトで夜遅くホーチミン市に到着
*ホーチミン空港は入国審査が超混雑で有名...夜9時到着後でも長蛇の列、2時間掛かってようやく入国。

イミグレーションを抜けたのが11pm...ホテルに着く頃には12am...翌朝早朝6amのフライトでロブスタ種の一大産地:北東(ベトナムの中東辺り)Gia Laiジアライ省へGO〜
